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村上隆 もののけ 京都 京都市京セラ美術館 [京都]

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京都市立博物館は伝統的な建物で数々の有名な作品が飾られてきました。それがこのほど改修が行われ近代的な施設へと生まれ変わりました。本館の建物は以前と同じです。ところが、その前方に今まではなかった地下階が誕生しているのです。入口も地上の正面から地下に変更されています。

中に入ると、チケット売り場の先にすぐに村上隆作品が飾られていました。赤と青の阿吽像で、多くの人が見上げていました。これだけでもこれまでの他の展示と比較にならないような度肝を抜く展示なのですが、さらに歩を進め中庭に出てもっと驚きました。村上隆の代表的な作品の花のキャラクターの巨大な像がそそり立っていたのです。しかも黄金です。太陽の光の加減で多様に光ります。なんの前情報を持たずに行ったので本当に驚きましたが、村上隆っぽいですね。

展示会場は最初から最後までこのような感じです。至る所に村上隆の特徴が散りばめられています。しかし、逆に考えると、村上隆っぽい作品というのは、アートの世界で村上隆が自分の作品の居場所を確固たるものにしているということです。洛中洛外図屏風を作っても、作品の中に村上隆のキャラクターが描かれていたり、風神雷神図を描いてもすぐに村上隆と分かるような面白さを持っています。日本を代表するポップアートの巨匠なのも頷けます。

村上隆の個展は8年ぶりで、今回展示されている作品は京都を題材とした新規のものばかりです。そのどれもが巨大です。美術館の空間を最大限に利用し、上から下まで作品が飾られていました。これらの作品は展覧会後にどうするのだろうと野暮なことを考えてしまいますが、村上隆あたりになると世界中のコレクターが問題なく買い付けていくのかもしれませんね。しかしここまで京都にこだわった作品を展開するということは、もしかすると村上隆美術館を京都に造るのかもしれません。

と、ここまで景気のいい話をしてきましたが、実はこの展覧会はものすごくコストが掛かっているそうです。そのあたりのボヤキなども会場内で説明されていました。ちなみにその説明板自体もアートの一環になっています。まあ、展示されている作品の大きさを見れば、赤字なのも納得できます。そのせいか分かりませんが、この展示の入場料は少し高めの設定です。また、資金不足のためか分かりませんが、実は一部の作品は制作が間に合わず仮の形で展示されているとか。9月までの長い会期の中で展示替えをする予定ということです。

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この富士山の作品は実は絵の前に素数の列が並んでいます。割り切れないということを表すために素数を並べたそうです。きちんと完成されたときにはこの素数列が消えるそうですが、一体いつのことでしょう。

そのようなわけで、勇壮な巨大な作品が並ぶ見ごたえある展示でした。分かりやすい作品ですし、とても印象に残ります。更にありがたいことに、この展示は全ての作品が写真撮影OKです。この手の展示が最近増えてきましたね。令和の時代の展覧会の新しい形です。

お土産も充実していましたし、素晴らしい企画でした。今後リピートすれば、訪問するたびに異なる作品を見ることになるかもしれませんね。


京都市京セラ美術館 村上隆 もののけ 京都

~9/1(月休) 10:00~17:30 一般2200円 大学生1500円 ただし京都市内の大学生は無料

最寄りバス停は京都市バスの岡崎公園 美術館・平安神宮前です。

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貴船神社 雨乞祭 [京都]

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今年は山の方で雪が少ないと聞きます。その結果スキー場などが困っているとの話もありました。ということは巡り巡って夏の渇水につながるのではないかと危惧しています。山に積もった雪が溶けることで夏の間に川の水が供給されるわけで、雪が無いということは水のストックが無いということになります。そんな今年の水不足に備えて、貴船神社では雨乞祭が行われました。もっとも、年中行事ですので、降る降らないに関わらず毎年行われます。

そんな雨乞祭が行われた日でしたが、当日はかなりの強い雪が降っていました。祈祷のあとには写真のように神水を撒いて雨を祈願します。祈祷後の説明によると、貴船神社は絵馬発祥の地として知られますが、その絵馬は祈祷の際に用いられた馬に由来するとのことです。その昔、雨乞いのときは黒い馬を、雨を止ませるときは白い馬を奉納したそうです。それがやがて板に描いた黒馬と白馬へと変化し、今のような願い事の絵馬に変遷しました。本殿には今でも黒馬と白馬の2種の絵馬が飾られています。結構ポップなスタイルの絵馬だったのですが、なにか所以があるのでしょうか。

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雨乞祭の後には、境内で絵馬のお焚き上げも行われました。一年間の絵馬やおみくじ、七夕の短冊を燃やす神事です。生憎の雪で燃えないかと思いましたが、そんな心配をよそに結構勢いよく燃えていきました。途中、お神酒を撒いたり塩で清めたりしていきます。竹が破裂する音も聞こえました。立ち上がる炎を間近に見られて、これはこれでいいものですね。山の上に挿してある竹が最後に倒れたのですが、その倒れる方向から今年の吉方位がどこかを占うことができたら楽しいのではないかと思いました。

雨乞祭のおかげか、この日の京都は一日雪が降ったり止んだりでしたが、水の心配が必要ない一年になって欲しいものです。

なお、貴船に来たのは20年ぶりくらいでしょうか。前回の記憶はほぼありません。昨年、映画「リバー 流れないでよ」を見て、行ってみたいなと思っていたのですが、意外に早く訪問できて良かったです。映画の舞台となった「ふじや」も見てきましたが、まさに神社の前なんですね。機会(とお金)があれば中で食事したいものです、その最中に時間がループしたら嫌ですが。


貴船神社 雨乞祭

3/9 10:00~(2024年実績)

最寄りバス停は京都バスの貴船です。

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京の夏の旅 文化財特別公開 新徳寺 [京都]

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今年は新選組結成160周年記念ということで、京の夏の旅のテーマは新選組です。と言ってもこの特別公開以外で新選組で賑わっているところは見ていません。京都市内で新選組に縁の地と言えば池田屋や金戒光明寺もありますが、一番は壬生でしょう。ここに新選組は長らく駐屯していたのです。今回の夏の旅でも複数のスポットが特別公開されています。

その中の一つに新徳寺があります。あまり有名なお寺ではありません。では、ここで何があったかというと、新選組が誕生する前の浪士組の頃、清河八郎がここで尊皇攘夷の大演説をした地なのです。この演説の結果、清河八郎を中心とした浪士組本体は江戸へ戻ることとなりました。その一方でここに留まった人たち、それが近藤勇であり芹沢鴨であり、新選組の元となった人たちでした。

清河八郎が演説をしたときの新徳寺の本堂は再建されてまだ十数年しか経っていない時期でした。現在、その当時の建物がそのまま伝えられています。本堂を奥から眺めれば、清河八郎が見た景色が見られるかもしれません。さほど大きな本堂ではないのですが、当時は200人くらい集まったそうです。

この新徳寺の建物としての魅力は屋根にあるそうです。外に出て屋根を見てみると、真っ直ぐではなく反ったり膨らんだりしています。これは「照り起くり屋根」という造りだそうです。また軒先には猿の像があり、阿吽が表現されているとか。こだわりを感じます。

なお、案内してくれた人によると京の夏の旅で初公開の寺院ですが、恐らく次の公開は無いとのこと。見せるという行為も大変ですからね。

清河八郎は胡散臭い人物として書かれることが多い気がします。新選組側から見たらきっとそうなのでしょう。数々の幕末ドラマに登場しますが、最も印象的な清河八郎役は西村雅彦(現・西村まさ彦)です。実はこれは大河ドラマではなく、「竜馬におまかせ!」というダウンタウンの浜ちゃんが主役のドラマなのです。もう25年以上も前のものですが、その印象は他の清河八郎で全く上書きされません。余談ですが、同様に岡田以蔵は反町隆史です。

新型コロナ明け初の寺社訪問でしたが、なかなか面白い場所でした。

なお、今回は京の夏の旅の公式が「新選組」の表記を用いているため、こちらでも「新撰組」ではなく「新選組」と表記しています。


京の夏の旅 文化財特別拝観 新徳寺

~9/30 10:00~16:00 800円

最寄りバス停は京都市バスの壬生寺道です。

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ウクライナ応援酒 世琉義 [京都]

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ロシアがウクライナに進行して3ヶ月以上経ちましたが、一向に収束の気配がありません。ロシアにしてみれば、一瞬のうちにウクライナを我が物にできると思っていたでしょうから、最大の誤算です。しかしながら、戦争が長引いて良いことはなく、犠牲者は増える一方です。この戦争はどうしたら終わるのでしょうか。

苦難にあえぐウクライナに対して、アメリカを始めとする国々が様々な援助を行っています。世界大戦にしないために自らがロシアに攻め込むことはありませんが、物資の輸送などを精力的に行っているようです。

当然ウクライナ国民は誰もが困難に直面しています。通常の日常生活を送ることも大変ですし、医薬品の不足も聞こえてきます。国際社会が何らかの形で援助しようと様々な取り組みを行っていることも耳にします。

そんな民間レベルの取り組みの一つとして、ウクライナを応援するためのお酒が誕生しました。その名は「世琉義」と言います。セルギという名前は中日ウクライナ大使のセルギー・コルスンスキー氏のことで、作っているのは京都の佐々木酒造です。この酒を購入すると、100円がウクライナ復興のために募金される流れになっています。

ウクライナ復興に対する募金ですが、「復興」というのは事が終わってからなされるものです。現在進行系で戦争が起きている間は、復興という言葉は馴染みません。そもそも今、町を作り直しても、また戦火に燃えてしまうかもしれません。結局のところ一日も早く戦争が終わらなければならないのです。もちろん、侵略を受けたウクライナが我慢するようなことがあってはならないのですが。

「世琉義」が復興を願う酒ではなく、平和を祝う酒になる日が一日でも早く来ることを願っています。


世琉義 1600円(税抜)

そごうや西武百貨店で購入できるそうです。

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打倒コロナ アマビエ酒で消毒を!? [京都]

各地で緊急事態宣言が解除され、ようやく日常を取り戻す流れができてきました。

これで再び感染者が増加することなく、発生が抑え込めればひとまず安心です。

もっとも、それは国内だけの観点であって、海外との交流が復活すれば、また海外からの再導入の不安がやってはくるのですが。


さて、早期の収束には妖怪のアマビエの効果があったのかもしれません。

前回の記事でも取り上げましたが、様々な商品や取り組みにアマビエが登場しています。

京都の由緒ある酒造メーカーである齊藤酒造(英勲ブランド)でもアマビエのお酒が発売されていました。

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せっかくですので購入して飲んでみましたが、純米吟醸だけに甘みの強い口当たりの良い日本酒でした。


ちなみに、先日のおばこアマビエセットにもアマビエイラストの入った日本酒(出羽の冨士)が入っていました。

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バリエーションが豊かなアマビエのイラストですね。

もちろん、ここで紹介したもの以外にもアマビエイラストの日本酒は売られています。


日本酒ですからアルコール度数は15%程度です。

コロナウイルスの消毒には55%以上のアルコール(エタノール)濃度が必要とのことですので、直接打倒はできませんね。

コロナ打倒後の祝杯として使うのには適していると考えられます。



英勲 純米吟醸酒アマビエ

720mL 2200円 (完売)

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毘沙門堂 初寅会 [京都]

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毘沙門堂はその名の通り毘沙門天を祀り、寅の日が縁日とされています。

新年明けて初めての寅の日には初寅会が行われます。


雲が多く、時折時雨れるはっきりしない天気の中毘沙門堂を訪れました。

境内では火が焚かれ、縁起物の福笹を売るテントが出ていました。

また、甘酒も無料で提供されていました。

体が冷え切る冬の気候に、この2つは嬉しいですね。

内側と外側から体を温めてくれます。

甘酒には驚くほどの大量の生姜を入れてくれました。

大さじ1杯以上ある量をカップ一杯分の甘酒に一気に投入する様子を見て、一瞬飲むのを躊躇しましたが、思いの外辛くなく、適度な風味でした。


この毘沙門堂は江戸時代に再興されたお寺です。

そのため、いたる所に江戸期の装いが見られます。

朱に塗られた寺の意匠は日光東照宮を意識しているそうで、実際に中には徳川家康の像も安置されています。

また、狩野派による襖絵も大量に残っています。

天井の龍も、襖の逆遠近法で書かれた絵も、鑑賞者の動きに合わせて動くとされています。

実際に視点を変えてみましたが、そう言われるとそう見えるような・・・。

今で言うトリックアートなのでしょうか。


しかし何よりも衝撃的だったのが「梅の間」です。

ここには木と鳥の襖絵が飾られているのですが、この場所は実は望まぬ客人が通される部屋なのです。

梅の絵には通常うぐいすが描かれるのに山鳥が描かれています。

竹には雀ではなくコマヒヨドリがいます。

通常とは違う組み合わせの鳥が描かれている→「鳥合わない」→「取り合わない」

つまり、住職は会いませんよ、というメッセージなのです。

そのことを、通された客は襖絵から感じなければならなく、もはや誰も知らせには来てくれないのだとか。

恐ろしい京都人の心を垣間見た気がします。


毘沙門堂の解説案内はすごいですね。

最先端の技術で、ペンで案内パンフレットをタッチすると自動で場所を認識し、解説が始まるというものでした。

通常のイヤホン&ボタン操作の音声ガイドよりも一歩進んでいます。

無駄にすごい。


冬の寺社仏閣の参拝はやはりきついですね。

一通り見終わったときには、体が完全に冷え切りました。

今日は火が焚かれていたので、暖まることができたのは幸いでした。



毘沙門堂 初寅会

1/4~6(2019年実績) 8:30~16:30 拝観500円

最寄り駅は東海道本線の山科駅です。

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第43回京の夏の旅 旧邸御室 [京都]

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最近の京都はとてつもない暑さで観光どころではありません。

少し前は大雨で川の氾濫や土砂崩れが危惧されてもいました。

観光業界には辛い夏です。


さて、今年も京の夏の旅が始まりました。

日頃は公開されていない文化財を、期間を限って公開する企画です。

今年初公開となるのは旧邸御室です。

ここは以前は山三という会社の関係者が実際に住んでいたということですが、今はイベントスペースとして貸し出されているようです。

まず和風な門をくぐり、受付を通って座敷に上がらせてもらうと蔵とその前の洋間に通されます。

そして、次に大広間に通されるのですが、その趣深さは筆舌に尽くしがたいものがあります。

始め部屋に入ったときはたまたま前の客がおらず、淡々と部屋の作りの説明を受けました。

双ケ岡の斜面を正面にして庭が作られていること。

床の間には琵琶床と呼ばれる作りがあること。

欄間には富士山の意匠が施されていること。

そして、最後にテーブルは南方系の大きなカリンの木の一枚板で作られていること。


色々と作りが凝っているのだなと感じたのですが、そこでさらにこのカリンのテーブルを用いた“庭鏡”について聞きました。

半信半疑で窓から下がり庭を見ると上の写真に示したように、まさに窓からの景色がテーブルに反射します。

しかも、とても明瞭に。

この景色を見る際には、部屋の電気を落としてくれました。

美しさのツボを押さえています。

下調べをせず訪問したので、本当に新鮮な感動でした。

このような、おもしろい趣向があるのですね。


隣の部屋では、様々な飲み物(有料)を用意しておもてなしをしていただけます。

このときも誰もいませんでしたので、ゆっくりと庭を見ていることができました。

庭に聞こえるかすかな音がいいですね。

鳥の声や雨のしずくの音も素晴らしく思えます。

贅沢とはこうした豊かな美しさに使える空間と時間を持ち合わせていることなのではないかと思います。


現所有者の関係者の方と少しお話をしましたが、誰がなんの目的で建てたのか分からないというのも不思議な話ですね。

玄関直ぐのところに茶室があるのですが、これはおもてなしのためというよりも稽古用ではないかとのことです。

昭和12年築と100年経っていないにもかかわらず不明なことが多いということは、素性を隠さなければならない何かがあったと考える方が自然なのかもしれません。



第43回京の夏の旅 旧邸御室

~9/30 11:00~16:00 600円

最寄り駅は嵐電の御室仁和寺駅です。

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漢字ミュージアム 身近なことばの意外な由来展 [京都]

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中国から輸入され、日本で独自の進化を遂げた漢字も日本の文化の一つと言えるかもしれません。

そんな漢字の博物館が京都に作られたことはとても意義深く感じます。


今回の企画展は言葉(単語)の由来を解説するものです。

小さく書かれていますが、特に江戸時代に作られたものについて紹介しています。

近年は日本語の語源の解説本がたくさん出ていますね。

今回はそんな中から特に漢字に繋がるものをピックアップしたような感じでしょうか。

それにしても内容が薄いというか、実例が少ないというか。

点が線になり、何らかの方向性を見い出せるようになるまでには、とにかく示す量が足りません。

しかしながら、江戸時代の辞書は「節用集」と呼ばれていたことが分かったので、それを元に他の資料を調べることができそうです。

また、杉田玄白らが翻訳した解体新書の解説から、言葉を扱うにあたって「翻訳」「意訳(義訳)」「音訳」という訳し方があることを知りました。

歴史用語の丸暗記状態の「解体新書」が、少し生きた知識に変化した気がします。


ミュージアムは新しいだけあって、体験型の展示がたくさんあります。

小学生は喜びそうな設備なのですが、小学生には難しいでしょう。

また、漢字の歴史も分かりやすく説明されていました。

それが読めるだけでも十分です。

甲骨文字から長い年月を経て今の漢字になりましたが、孔子の時代にはまだ甲骨文字に似た漢字を使っていたんですね。

それどころか、春秋戦国時代には各国家で漢字が異なる形になってしまったそうです。

それを統一したのが王朝までも統一した秦の始皇帝です。

さらに秦の始皇帝は漢字をより簡単な表記に整理したそうです。

現在に至るまで漢字は何度も改変され、現在の中国では簡体字となっていますが、簡略化の歴史も2000年以上あるのですね。

そして今、日本を含め、再び国々で使う字体が異なる事態になっています。

これを再度統一する時代は来るのでしょうか。

漢字の歴史を振り返ってみても、歴史は繰り返すものであることを痛感します。



漢字ミュージアム 身近なことばの意外な由来展

~7/1(月休) 9:30~16:30 大人800円 高大生500円

最寄りバス停は京都市バスの祇園です。

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第42回京の夏の旅 本野精吾邸 [京都]

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京都と言えども流石に秋の気配を感じるようになりました。

散策に適した時期になりつつあります。


特別公開されている本野精吾邸は、衣笠の住宅街の中にあります。

しかも写真に写っているように背後は立命館大学の校舎が迫っています。

立命館大学に隣接しているせいか、たしかに周辺には学生の姿ばかりが目立ちました。


この本野精吾邸はモダニズム建築の住居で、大正13年に建てられました。

もう直ぐ築100年です。

モダニズムだけあって、中は当時の住居とは一線を画します。

まず廊下がなく、部屋と部屋が仕切り無くつながっています。

ダイニングとリビングがつながっていたのは当時としては画期的だったようです。

そして、建築部材も変わっていて、L字型の中村鎮式コンクリートを組み上げて建てられているそうです。

外観には今でもそのコンクリートの形が浮き出てレンガのように見えています。

中村鎮式コンクリートのすごいところはL字型を組み合わせることによって内部に空洞ができ、強度を高めたいところはそこを埋めて鉄筋を通したり、生活に必要な配管類を通したりできるそうです。


初めて見た時は、この建物がそんなに重要な建築物とは思えませんでした。

むしろ、廃墟のようにさえ見えます。

しかし、当時としては画期的な住居で、実は現代の住宅にも通じるものがあるようにも見えます。

ダイニングとリビングがつながり、コンクリート壁の間に空間があることにより断熱効果も期待できます。

庶民の住居感が100年経ってやっと本野精吾に追いついたのです。

質素な作りに見えますが、窓枠やドアノブ、暖炉、天窓などに多少凝った作りも感じることが出来ました。


建築当時はこの辺りは高級住宅街だったのでしょう。

今では全く見ることが来ませんが東山の稜線が窓からは望め、北からは涼やかな風が通り抜けていたと想像されます。

以前ここで紹介した木島櫻谷旧宅も近くにあります。

実際に訪問した日も、涼やかな風が抜けていくので心地良い思いでした。

もっとも、この本野精吾邸には中にクーラーが設置されているのでストレス無く拝観できます。



第42回京の夏の旅 本野精吾邸

~9/30 10:00~16:00 無料

最寄りバス停は京都市バスの小松原児童公園前などです。

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第40回京の夏の旅 生谷家住宅 [京都]

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生谷家は鴨川改修を行なった功績によりこの地に領地を拝領し、以後江戸時代を通して青物問屋として続いてきました。

実際に青物問屋だったのは別の土地ということで、ここは居住用だったようです。

「まちや」には2種類あるそうで、店舗を兼ね備えたものが「町屋」、居住用が「町家」だそうです。

そういうわけで、生谷家住宅は「町家」です。

 

中に入ると最近改修が行なわれたおかげでとてもきれいでした。

ありがたいことに、クーラーが設置されています。

目隠しとして調度に埋められていますが、夏の暑い京都観光には冷風が本当にありがたいです。

一階には書が展示された和室があり、その奥に「光琳の庭」があります。

尾形光琳の代表作、風神雷神図に模した形で近年整備された庭で、木石により風神や雷神が表現されています。

言われてその気になって庭を見れば、確かに風神雷神に見えてくるような気がします。

二階には過去の当主が蒐集したコレクションが展示されていました。

刀がむき出しに飾られていて、間近に見られることに興奮しましたが、よろけたときには怖いものですね。

最近は刀剣ブームということですが、見る人が見ればどれだけ貴重なものか分かると思います。

この二階は江戸時代には通りに面して設置してはならない決まりだったのだそうですが、仏間を作るという名目で特別に設置されたということです。

要は、通りを歩くお侍さんを上から覗くことは不敬と考えられたのですね。 

 

烏丸通りから1本入った室町通りに生谷家住宅はあり、これまでその存在に気付きませんでした。

なぜそのように奥まったところに、と思うかも知れませんが、烏丸通りが開けたことの方が生谷家住宅の誕生より新しいのでしょう。

昔はきっと室町通りの方が栄えていたんですね。 

 

第40回京の夏の旅 生谷家住宅

~9/30 10:00~16:00 600円 

最寄り駅は京都市営地下鉄烏丸線の鞍馬口駅です。