第42回京の夏の旅 本野精吾邸 [京都]
京都と言えども流石に秋の気配を感じるようになりました。
散策に適した時期になりつつあります。
特別公開されている本野精吾邸は、衣笠の住宅街の中にあります。
しかも写真に写っているように背後は立命館大学の校舎が迫っています。
立命館大学に隣接しているせいか、たしかに周辺には学生の姿ばかりが目立ちました。
この本野精吾邸はモダニズム建築の住居で、大正13年に建てられました。
もう直ぐ築100年です。
モダニズムだけあって、中は当時の住居とは一線を画します。
まず廊下がなく、部屋と部屋が仕切り無くつながっています。
ダイニングとリビングがつながっていたのは当時としては画期的だったようです。
そして、建築部材も変わっていて、L字型の中村鎮式コンクリートを組み上げて建てられているそうです。
外観には今でもそのコンクリートの形が浮き出てレンガのように見えています。
中村鎮式コンクリートのすごいところはL字型を組み合わせることによって内部に空洞ができ、強度を高めたいところはそこを埋めて鉄筋を通したり、生活に必要な配管類を通したりできるそうです。
初めて見た時は、この建物がそんなに重要な建築物とは思えませんでした。
むしろ、廃墟のようにさえ見えます。
しかし、当時としては画期的な住居で、実は現代の住宅にも通じるものがあるようにも見えます。
ダイニングとリビングがつながり、コンクリート壁の間に空間があることにより断熱効果も期待できます。
庶民の住居感が100年経ってやっと本野精吾に追いついたのです。
質素な作りに見えますが、窓枠やドアノブ、暖炉、天窓などに多少凝った作りも感じることが出来ました。
建築当時はこの辺りは高級住宅街だったのでしょう。
今では全く見ることが来ませんが東山の稜線が窓からは望め、北からは涼やかな風が通り抜けていたと想像されます。
以前ここで紹介した木島櫻谷旧宅も近くにあります。
実際に訪問した日も、涼やかな風が抜けていくので心地良い思いでした。
もっとも、この本野精吾邸には中にクーラーが設置されているのでストレス無く拝観できます。
第42回京の夏の旅 本野精吾邸
~9/30 10:00~16:00 無料
最寄りバス停は京都市バスの小松原児童公園前などです。
2017-09-10 01:02
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