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学校給食歴史館 [埼玉]

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小学校や中学校で給食が一番の楽しみだという子供は結構いた気がします。給食を食べていた時代は遠い過去となってしまいましたが、今の給食は昔と違うのでしょうか。北本市にある学校給食歴史館では、そんな給食の歴史について紹介しています。

学校給食歴史館は埼玉県学校給食会の敷地の片隅にあります。外からはただのプレハブに見えますが、中に入ると展示が盛りだくさんで給食の変遷が分かるようになっていました。給食の歴史は山形県に始まるそうです。その後、戦中・戦後と給食は内容を変えて提供されます。特に戦後の脱脂粉乳とコッペパンはよく語られますね。昔はパン食がほとんどでしたが、今はご飯が主流になっていると聞いたことがあります。昭和から令和まで各時代の代表作や賞を取った給食メニューが並んでいました。中には懐かしく感じるものありました。

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今となっては一人分の給食の量でよく足りていたなと感じます。展示の内容は多少脚色されている部分があるかも知れませんが、左の1975年の給食のほうが、右の2001年の給食よりも豪華に見えるのは気のせいでしょうか。最近では、給食費を抑えすぎて満足なものが提供できないと聞いたことがあります。確かに、給食費が払えないような家庭があることは承知しています。しかし、そのために多くの児童がお腹をすかせてしまうのでは本末転倒です。そのようなことを思うと、給食費の値上げは率先して行ってもいいように思います。

展示の中には埼玉県150周年記念メニューなどもありました。特別メニューはいつの時代も楽しみです。そういえばクリスマスか学年最後の給食にはケーキが出たような覚えがあります。ソフト麺、潰したはちみつパン、など給食の思い出はたくさんあります。今の子供達にもいつまでも記憶に残る給食が提供され続けてほしいものです。

ところで、展示には食器の変遷は多少紹介がありましたが、“先割れスプーン”が全く取り上げられていませんでした。給食の異質感の一つはこの先割れスプーンだと思うのですが、黒歴史化してしまっているのでしょうか。今の子供達には馴染みが薄くなっているのかも知れませんが、是非取り上げて欲しいと思います。

それと、展示を見ていて思い出したことがあります。給食の牛乳です。展示では埼玉県内の牛乳勢力図が書かれていました。地域ごとにたくさんの牛乳屋さんがあるのですね。何故か県南に茨城県のトモヱ乳業の勢力があるのも面白いものでした。では、自分の時代の牛乳はどこのものだったのかと思い出してみたところ、おそらく「村岡牛乳」だったと思われます。現在の勢力図には記載が無く、おそらく廃業したものと思われます。

様々な給食のことを知ることができる面白い施設でした。なお、この施設の給食は埼玉県下のもののみ取り上げられています。


学校給食歴史館

平日のみ 9:00~16:00 無料

最寄りバス停は川越観光自動車のワコーレ北本です。

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国立新美術館 蔡國強展 [東京]

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何かのアートイベントのときに蔡國強の名を知りました。しかし、今となってはそれが何のイベントかも、どんな作品だったのかも覚えていません。ただ、なんだかすごい作品のアーティストが居るらしいということだけを記憶していました。そんな蔡國強の特別展が国立新美術館で開催されるとのことで早速見に行ってきました。

この展示では蔡國強の初期の作品から今年までの多くの作品を網羅しています。特に初期の方向性が確立するまでの葛藤はとても示唆に富んでいます。西欧と同じことをしても仕方ない、かと言って社会主義リアリズムも違うだろうと。その試行錯誤の中、どうして火薬・爆発に行き着いたのかはわかりませんが、以後、蔡國強は火薬の芸術家として活動していきました。

日本で様々な芸術活動を展開していきますが、知名度が上がるに連れて貧しくなるという言葉が印象的です。火薬を使うアートですからお金もかかるでしょうし、そもそもインスタレーションとして公開した作品は形が残らず、買い手も付きません。今回も当時の古いビデオが流されていましたが、当時の作品を唯一知ることができるのはそれしかないのです。もちろん、当時その場にいた人にとっては非常に鮮烈な作品となるでしょうが、それ以外の人にとっては感動をなぞれないのです。写真が残っていても同様です。映像でわずかに1/10程度が感じ取れるでしょうか。

ただし継続は力なりです。日本、ヨーロッパ、中国、アメリカと作品を展開していくとやがて多くの人に認知されるようになり、近年は大規模な作品にも挑戦するようになりました。空へと続いていく梯子のアートや花火のアート作品などです。そして、知らなかった(忘れていた?)ことですが、北京オリンピックの開会式の巨人の足跡を花火で表現した作品も蔡國強のものでした。

前述の通り、蔡國強の作品はインスタレーションも多く、形として残らないものが少なくありません(砂曼荼羅を爆破してみたり)。したがって会場に展示されているものの多くは設計図や概念図などです。それでも一部戦争の絵やスケートをしている作品などがありました。そんな中、会場中心を大きく占めていたのは、メキシコでの花火作品の《未知との遭遇》を花火ではなくLEDにして展示したものです。本来は火を吹き、回転したり動いたりするものですが、まさか美術館内で再現できませんからね。添付写真の中央にわずかにアインシュタインがいるのが分かると思います。蔡國強は中国出身で日本で活動をしていましたが、最近はもっぱらアメリカで制作しているようです。アメリカはパトロン的もしくは火薬アートの制作環境的な点から考えて、生活しやすいのかも知れません。

実はこの展覧会の会期は6/29からなのですが、6/26にいわき市でピンク色の煙の報告がネット上に上がりました。何かの爆発かと思ったのですが、それこそ、蔡國強が仕掛けた東日本大震災からの復興アートだったのです。蔡國強はいわき市の住民との縁が深く、その関係で作品の公開となったようです。現地で生で見られたらなんと幸せだったことでしょう。白、黒、ピンクと様々な色で行われた昼間の花火は素晴らしいものでした。その時の様子は会場のビデオで見ることができます。余談ですが、花火の爆発後に立ち上っていくカラフルな煙は無音でウネウネと動いていき非常に気持ち悪く感じました。エヴァンゲリオンの使徒的な、もしかするともっと想像外の動きです。アニメーション内の誇張表現と思っていた色々が、実はさほど現実と乖離したものではないように今では思われます。この会期3日前のいわきの様子もきちんと会場に反映されており、スピード感のある展覧会だと感じました。

なお、半券内には会場内での写真撮影は禁止と記載されていたのですが、会場内で聞いたところ写真・ビデオともにOKのようです(さすがに会場で流している映像関係の収録はダメだと思われます)。今回の入場者は半分くらいは中国の方の印象です。でも若い。アートに興味があるんでしょうね。作品の鑑賞速度などインバウンドの人たちとは雰囲気が違う気がしました。


国立新美術館 蔡國強 宇宙遊ー〈原初火球〉から始まる

~8/21(火休) 10:00~17:30(金土は~19:30) 一般1500円 大学生1000円

最寄り駅は東京メトロ半蔵門線などの乃木坂駅です。

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