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熊本地震から1年後の春 [熊本]

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以前熊本に行ったときは3月の中旬だというのに桜が咲いていたものでした。

今年は軒並みゆっくりですね。

 

熊本といえば、昨年の熊本地震を思い出しますが、まだ1年経っていないのですよね。

街は被害が出た建物が有ったとみられる更地はあるのですが、熊本市の繁華街を行く人々にはそんな自身の悲壮感は感じられませんでした。

しかし、熊本城の被害は以前深刻です。

現在でも敷地内への立ち入りはできません。

 

近くにある市役所は土日でも展望台が開放され、高いところから城の様子を見ることができます。

多くの人で賑わっていましたが、そこから目の当たりにする熊本城の様子はひどいものです。

相変わらず瓦が落ちたままで、ひと夏を越えたことを感じさせる雑草が屋根に生えています。

何らかの戦乱の後のようです。

西南の役でしょうか。

天守閣だけでなく、市役所からは辛うじて石垣に残った飯田丸五階櫓もよく見えます。

その櫓を壊さないように復旧する様子も見て取れます。

最近の再建で、櫓自体かなり歪んでしまっているため、一度壊してから再建したほうが現実的なように感じられるのですが、このまま壊すこと無く何とかしようというのが意地なのでしょうね。

城と街で地震からの時間の流れが違うように感じられる熊本でした。

 

熊本市役所 14階展望ロビー

平日8:30~22:00、閉庁日10:00~22:00 無料

最寄り電停は熊本市電の熊本城・市役所前です。


人吉城と相良清兵衛の地下室 [熊本]

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人吉を治めていた相良氏は鎌倉時代から江戸時代まで続いた名族として知られています。

もちろん、その間にはお家騒動など存亡の危機に遭遇したこともありました。

また、島津氏や豊臣秀吉などの外患に対しても難しい立場になることもありました。

その度になんとか切り抜けて、今の人吉の街の基礎を作り上げてきました。

 

特に関が原の戦いでは西軍に属していたため、あわや敗戦からの取り潰しになる恐れがあったのですが、家老の犬童頼守の交渉力によって徳川家康に内通し、土壇場で東軍に寝返ることによって所領安堵となりました。

この犬童頼守は主君から相良の姓を名乗ることを許されていたため、地元では相良清兵衛の名で知られています。

しかしながら、初見では 犬童頼守=相良清兵衛とならず、相良清兵衛とは誰か分かりかねました。

資料館などでは相良清兵衛で表記するのが好きなようです。

しかし、この犬童頼守はその後専横が過ぎるということで、幕府からの呼び出し、および一族の誅殺を招きます。

その際に館は焼け落ちたのですが、近年の発掘からそこには謎の地下室があることがわかりました。

人吉城歴史館にはその地下室遺構が復元され、中に降りて見ることができます。 

水場が備えられた地下室は、解説員の説明では宗教的施設、清めの場の可能性があるとのことでした。

人吉にだけそのような文化があったのでしょうか。

 

人吉城の以降もきれいに残っています。

石垣も見事なのですが、最近の軟弱な行政の姿勢と違って石垣のきわには柵も何も設置されていません。

石垣の手前まで芝の広場が広がっているので、よそ見をして走り回っていると確実に落ちます。

歩きスマホをしている人にはその危険性が如実にわかる場所かもしれません。

しかし、だからこそ美しい展望が開かれているのであり、自分の身は自分で守るということで過剰の防護柵は必要ないでしょう。

 

人吉は交通の結節点です。

熊本市からは宮崎行きも鹿児島行きも高速バスがインターに止まるのでアクセスに利用することができます。

また、JR九州の観光列車が数多く走ってもいます。

SL人吉、いさぶろう・しんぺいに加えてこの春からはかわせみ・やませみも走るようになりました。

まさに観光する目的地として価値のある地だと言えます。

 

人吉城歴史館

第2月休 9:00~16:30  200円

最寄りバス停は人吉周遊バスじゅぐりっと号の新町です。

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熊本城の桜 [熊本]

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今年はどこもかしこも桜の開花が早いですね。

熊本城の桜も既に5分咲きを過ぎていました。

最近出来た桜の馬場城彩苑は、その名の通り行幸坂沿いの桜を見つつお土産を買ったり食事が出来たりと便利な施設になっています。

また、歴史文化体験施設(湧々座)では「よみがえる熊本城 武将が守った名城を歩く」という作品の上映が始まりました。

これは江戸時代の熊本城をCGで立体的に再現した作品で、非常に綺麗な映像で本当にその場に建っているような緻密さです。

かつてはジオラマで昔の城や町の様子を再現することが行われていましたが、このデジタルな時代にあってはCGで再現するのがこれからのスタンダードになるのかも知れません。

 

さて、桜の馬場から頬当御門を目指して進むとやがて大天守と小天守を備えた熊本城の威容が見えてきます。

それと同時に、積み上げられているいくつもの石垣が行く手を阻みます。

その非日常的な光景は、積み重ねてきた歴史と加藤清正や細川家の偉大さを感じさせるものでした。

熊本人が熊本城を愛するのが分かります。 

特に今回は天守へ至る道の全ての桜が見頃を迎えていて、海外から来たと思われる観光客も歓声を上げて喜んでいました。

お城に桜は映えますね。 

桜の時期のせいかはわかりませんが、城の中も外も結構な賑わいでした。 

そんな中でオススメは櫨方門を通るルートです。

前述の通り桜の馬場の施設が出来たことやバスの発着点があったり駐車場があったりすることから、観光客の多くが頬当御門を通って本丸へと向かう流れになっています。

また、 櫨方門のところで馬具櫓を再現する工事が行われていて、入口が分かりにくくなかなか足を向けようという気になりません。

しかし、櫨方門のルートは桜の木も多く、見所の石垣(二様の石垣や積み増した石垣) もたくさんあり、熊本城を何倍も楽しむことが出来ます。

今回も本丸周りはかなりの人がいたにもかかわらず、櫨方門からのルートはひっそりとしていて桜の木を前景に熊本城を好きなだけ撮ることが出来るスポットになっていました。 

 

天守は鉄筋コンクリートによる再現ですが、建築方法が重要なのではなくそこに熊本城が建っているという事実が大切な気がしました。

急な階段を再現してしまい限られた健脚の人しか最上部まで行けない城よりは、普通の階段で多くの人が眺望を楽しむことが出来る施設であることも城を愛して貰うためには重要なのかも知れません。

かといって、エレベーターを設置してしまう城はさすがに好きにはなれませんが。 

 

歴史文化体験施設 湧々座  よみがえる熊本城 武将が守った名城を歩く

 8:30~18:00 300円(城との共通券の取り扱いあり)

最寄りバス停は熊本城周遊バスの城彩苑前です。 

湧々座の入場券の半券が桜の馬場での飲食の割引チケットとなるとのことなので先に行くことをオススメします。