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第43回京の夏の旅 旧邸御室 [京都]

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最近の京都はとてつもない暑さで観光どころではありません。

少し前は大雨で川の氾濫や土砂崩れが危惧されてもいました。

観光業界には辛い夏です。


さて、今年も京の夏の旅が始まりました。

日頃は公開されていない文化財を、期間を限って公開する企画です。

今年初公開となるのは旧邸御室です。

ここは以前は山三という会社の関係者が実際に住んでいたということですが、今はイベントスペースとして貸し出されているようです。

まず和風な門をくぐり、受付を通って座敷に上がらせてもらうと蔵とその前の洋間に通されます。

そして、次に大広間に通されるのですが、その趣深さは筆舌に尽くしがたいものがあります。

始め部屋に入ったときはたまたま前の客がおらず、淡々と部屋の作りの説明を受けました。

双ケ岡の斜面を正面にして庭が作られていること。

床の間には琵琶床と呼ばれる作りがあること。

欄間には富士山の意匠が施されていること。

そして、最後にテーブルは南方系の大きなカリンの木の一枚板で作られていること。


色々と作りが凝っているのだなと感じたのですが、そこでさらにこのカリンのテーブルを用いた“庭鏡”について聞きました。

半信半疑で窓から下がり庭を見ると上の写真に示したように、まさに窓からの景色がテーブルに反射します。

しかも、とても明瞭に。

この景色を見る際には、部屋の電気を落としてくれました。

美しさのツボを押さえています。

下調べをせず訪問したので、本当に新鮮な感動でした。

このような、おもしろい趣向があるのですね。


隣の部屋では、様々な飲み物(有料)を用意しておもてなしをしていただけます。

このときも誰もいませんでしたので、ゆっくりと庭を見ていることができました。

庭に聞こえるかすかな音がいいですね。

鳥の声や雨のしずくの音も素晴らしく思えます。

贅沢とはこうした豊かな美しさに使える空間と時間を持ち合わせていることなのではないかと思います。


現所有者の関係者の方と少しお話をしましたが、誰がなんの目的で建てたのか分からないというのも不思議な話ですね。

玄関直ぐのところに茶室があるのですが、これはおもてなしのためというよりも稽古用ではないかとのことです。

昭和12年築と100年経っていないにもかかわらず不明なことが多いということは、素性を隠さなければならない何かがあったと考える方が自然なのかもしれません。



第43回京の夏の旅 旧邸御室

~9/30 11:00~16:00 600円

最寄り駅は嵐電の御室仁和寺駅です。

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