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定期的に「古河公方足利氏展」 古河歴史博物館 [茨城]

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戦国時代の始まりは「応仁の乱(1467年)である」、という言説から、次第に「享徳の乱(1455年)である」という説に移行しつつあるそうです。少なくとも関東での戦国時代の始まりは享徳の乱で間違いないでしょう。この年足利成氏は拠点を鎌倉から古河に移しました。そこから、上杉氏や北条氏などと100年以上も戦い続けるのですが、結局古河公方足利氏は主導権を得られなかった気がします。むしろ鎌倉公方が関東の戦乱の中心になるのは室町時代前期で、足利成氏がその最後と言っても過言ではない気がします。それ以降は本当にパッとしないのです。

この展示では古河公方の5代の業績を紹介しています・・・がほとんど内容がありません。展示の1/4は結城合戦で、これはまだ古河公方誕生以前です。間違いなく前回より情報量が少ないものでした。なにか新規の展示はあったのでしょうか。もしかして、使い回しでしょうか。

確かに、受付で販売していた図録も平成9年の古河公方展のものを再販した平成24年当時のものでした。確かに、常設展観覧料金で見られるのですから損はしていないのでしょうが、足利成氏や家臣と周辺の勢力状況を知るだけなら常設展の展示だけで十分です。強いて挙げるならば、古河公方展内の野田氏の所領一覧と常設展内の土井家の所領一覧の比較から戦国江戸期の領主の境界の認識が分かるところは興味深いところでした。特に現在の栃木市-小山市-結城市の辺りがどの程度まで古河の統治の範疇だったかよく分かりました。

さて、このような感じであまり満足しないまま歴史博物館を後にして、せっかくなので古河の七福カレーめんでも食べて帰ろうかと思ってホテル山水のレストランへ行ったところ、法事で貸切営業で食べることができませんでした。せめて蕎麦でもと思って駅構内の立ち食いそば屋に向かったところ、なんと今夏から土日休業に変更されていました。

なんとも悶々とする一日でした。


古河歴史博物館 古河公方足利氏展

~11/26(月休) 9:00~16:30 400円

最寄りバス停は古河市コミュニティバスぐるりん号の歴史博物館前です。


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ヨシタケシンスケ展かもしれない 宇都宮美術館 [栃木]

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11/16付の読売新聞によると2010年代は絵本が盛況だった時代とのことです。表題のヨシタケシンスケさんの作品やノラネコぐんだんなど新しいキャラクター、作家の絵本がたくさん発行されました。それぞれの作品はひと目で作者がわかりますしキャラクターが立っています。一方で、昔からの絵本作家が鬼籍に入られる時代でもありました。やなせたかし、安野光雅、かこさとし、錚々たる作家たちが亡くなるとともに、新作が出なくなりました。ちょうど入れ替わった時期なのかも知れません。

キャラクターに特徴のある絵本作家は美術展などが開きやすいのかも知れません。ヨシタケシンスケ展は宇都宮美術館を始め日本中を巡回しています。ヨシタケシンスケさんは10年くらい前に突然登場した人であったため、若い作家さんなのかと思っていました。実際はそんなことはなく、50代です。絵本作家前には様々な仕事をしていたようです。今回の企画展にも展示されていますが、大学時代は芸術の道を目指し、面白い立体物を制作していたようです。

ヨシタケシンスケさんの真骨頂はそのメモ力です。会場の壁一面に並べられたイラストと組み合わされたメモは圧巻です。日常に思いついたことを細かくメモをしているようで、それが絵本作品にも反映されているようでした。何よりもメモを書く継続力に驚きました。多くの人はひらめいたことのメモを逐一取ろうと思っても、なかなか形にはできないでしょう。さらに絵本制作にも緻密な分析力は生かされ、あらゆる可能性を書き出してストーリーを作っているようでした。会場ではその流れを読むことができます。絵本作家には思いつきを直に絵に起こすタイプもいますが、ヨシタケシンスケさんの作品は過程である設計図が肝だと思います。このような緻密な考察を繰り返しているからこそ、哲学のような絵本が誕生するのだと感じました。

会場は基本的に写真撮影自由です。ヨシタケシンスケさんのキャラクターが所狭しと並べられている他、動画や顔出しパネル、ボール投げ、トゲトゲ椅子など体験型のコーナーもたくさんありました。これならば絵本の主要なターゲットである子どもたちが来ても楽しめますね。美術展でありながらもテーマパーク的な作りでした。

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すべての展示の最後には、ヨシタケシンスケさんからのカードのプレゼントもあります。おみくじのような作りで、筆者の将来の職業は「名探偵」でした。嬉しいですね。

ヨシタケシンスケ作品は、年に数冊のハイペースで新作が登場しているので、今後さらに世界が広がっていく“かもしれない”。


宇都宮美術館 ヨシタケシンスケ展かもしれない

~12/24(月休) 9:30~16:30 一般1000円 高大生800円

なお、土日祝の入館は完全事前予約制です。

最寄りバス停は関東自動車の宇都宮美術館です。

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胞子紋インスタレーション 野良の藝術2023 [埼玉]

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今年はさいたま国際芸術祭の開催年です。さいたま市内のあちこちでイベントが開催されています。政令指定都市移行20年ということで、巷で大きく話題となって・・・いないです。びっくりするくらい話を見聞きしません。コロナ明けで外出の選択肢が増えたために注目度が上がらず埋没していることもあるのでしょうが、いまいち一般人には心に響かないのです。提供している側は一生懸命なのは分かるのですが、市民との溝は大きいと感じました。そもそも、邪道と言われるかもしれませんが、太陽の塔のようなオブジェを作るとか、大宮駅全体を赤く塗りつぶすとか、そうした「◯◯年は何をやった!」という記憶やモノが残る仕事が無いのが原因と感じられます。現代アートはそんなものじゃないとの反論があるでしょうが、市民の求めている芸術祭とはそういうものではないでしょうか。公的資金を投入するなら、アーティスト側のやりたいことをするだけでなく、そちらに近づけても良いとは思うのですが。

さて、さいたま国際芸術祭との関連はよく分かりませんが、さぎ山記念公園では野良の藝術というものが開催されています。11/4,5にはさぎ山記念公園のみぬま秋フェスと合わせて楽しむことができました。野良の藝術では自然の中で自然のものを使った作品などが提供されています。その中の一つに「胞子紋インスタレーション」という変わったものがありました。

胞子紋というのは、黒い紙の上などにきのこなどを湿らせて置いたときに飛んだ胞子で描かれる模様のことです。当然きのこの形に依存して模様が変わるので同じ模様は2つと存在しません。これを写真内のハウスのような建物の中に飾るアートです。ヒトが介入できない様々な模様が誕生する様はまさに現代アートですね。

胞子紋づくりは一般の人も参加でき、朝にきのこを選び、ケースの中に思い思いの形や位置でセットし、濡らしたペーパータオルをかけ、4時間程度日陰に置いておきます。その後、回収してハウス内に飾られます。当日中にできず、定着作業があるとのことで数日は見られないので成功したのかどうかしばらく分かりません。参加者の作品は掲示後にレターパックで送ってくれるそうです。

キノコが胞子で増えることは知っていましたが、胞子紋という遊びは知りませんでした。今回はしいたけでしたが、ほかのキノコでも違う模様が描けて楽しそうです。そして、シダ植物はどうなのでしょうか。

なかなかおもしろい自然と共生したアートでした。


胞子紋インスタレーション 野良の藝術2023

~11/12 10:00~日没 入場無料(胞子紋インスタレーション作成参加は500円)

最寄りバス停は国際興業バスのさぎ山記念公園です。

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