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日本の巨大ロボット群像 横須賀美術館 [神奈川]

日本のアニメ文化を牽引するジャンルの一つにロボットがあります。日本のアニメが誕生して50年以上、ロボットも多種多様なものが登場し、歴史を作り上げてきました。これらは時代背景や日本文化に大きな影響を受けています。そうしたアニメの中のロボットの変遷を作品とともに振り返る企画展が横須賀美術館で開かれています。

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日本のロボットアニメの草創期に登場したのは鉄腕アトムや鉄人28号でした。この展示でも始まりは鉄人28号です。鉄人28号は白黒アニメの時代に始まり、時代を超えて沢山の作品が作られています。一番驚いたのは鉄人28号が初めてテレビに登場したのは白黒の実写ドラマだったことです。しかも、よくある鉄人28号とは全く見た目が異なります。大きさも小さいものです。原作漫画とは全く似ても似つかないものでした。その後、アニメ版の鉄人28号が作られ、イメージ通りの鉄人が登場しました。そ90年代には続編が作られたり、21世紀にはリメイクされたりしています。こうした流れも興味深く、アニメの変遷の代表例に思えます。ヒット作は続編が作られたり、リメイクされての原点回帰はよく行われます。

その後70年代のスーパーロボットの時代になります。マジンガーZやグレンダイザー、ゲッターロボの時代です。分かりやすい色使いが特徴で、変身や合体するものの、厳密な物理的構造は反映されていません。

その後80年代になると、ガンダムやマクロス、ボトムズなどがヒットします。設定の厳密さとロボットの小型化が起こった時代でした。会場には大きさがわかるように実物大のガンダムの大きさが示されています。

そして90年代にはガオガイガーやファイブスターストーリーなどが登場します。この時代には70年代ロボットの揺り戻しが起きたようです。デザイン的に角形ではなく丸型(曲線多様型)の腕などのデザインが復活しました。また、ネタ切れにも直面した時代のようでした。

このように日本のアニメの中で、どのようにロボットが変わってきたのか見ることができます。惜しむらくは、その考察がおそらく20世紀で終わっているところです。個人的な考えでは、この後にエヴァンゲリオンが来ます。いままでロボット=機械といった物が多かったのですが、エヴァンゲリオン辺りから生き物の要素が取り込まれていきます。硬質なデザインだけでなく、生物的な意匠が含まれるようになりました。操縦の仕方もこれまでのレバーだけでなく、生体と連動するものも多くなります。こうした今につながるところは全く展示がありませんでした。もちろん未来の予想もありません。まだまだ今後素晴らしい作品が登場するかも知れませんし、ロボットアニメは現在進行系で発展しているでしょう。未来が楽しみです。

聞くところによると、日本のロボットアニメの異質なところは中に乗り込んで戦うところなのだそうです。アメリカのロボットはスター・ウォーズやトランスフォーマーに代表されるように、ロボットが友人としての形を取ります。日本のロボットは内部に乗り込むことから、自己の拡張を意味するのだとか。違う自分になりたい、強い自分になりたい、といった願望を叶えてくれるのが日本のアニメのロボットなのです。

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会場はとても賑わっていました。会場には宮武一貴さんの描いた大きな作品が2点飾られています。その中には機動戦艦ナデシコの中に登場するゲキガンガーもあります。劇中劇のロボットなのにもかかわらず選ばれたことに驚きます。

幅広い層の観覧者がいましたが、驚いたのは意外に女性が多かったことです。もしかすると、芸術として鑑賞するのに相応なテーマだったのかもしれません。音声ガイドはアニメの企画展らしく銀河万丈さんと水樹奈々さんの声で案内してくれます。掛け合いも楽しいので借りるしかないですね。しかし、会場での記念グッズの類が少ないのは残念でした。

横須賀美術館は併催としてジブリ展も行っています。そのおかげで美術館はとても賑わっていました。ジブリ展は完全予約制の展示で、時間まで外に待機列を作らされますが、ロボット展は随時中に入れます。また、ジブリ展に人が集まっているために、駅から横須賀美術館までのバスは臨時便が設定され、2倍くらいの量になっていました。実際にバス停には多くの人が並びましたが、臨時便が設定されているためまずまずの混み具合で移動することができます。しかし、会期はずらしてくれればいいのにとは思いますが。


横須賀美術館 日本の巨大ロボット群像

~4/7 10:00~18:00 一般1300円 高大生1100円

最寄りバス停は京急バスのラビスタ観音崎テラス・横須賀美術館前です。

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