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英雄 尚巴志 城西大学水田美術館 [埼玉]

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日本史を勉強していても殆ど触れることがないでしょう。沖縄を初めて統一したとされる王、尚巴志についての展示が城西大学で行われるということで訪問してきました。そもそも、なぜ沖縄か。埼玉県には海がないために、沖縄は縁遠い地域です。沖縄県をテーマに展示が開催されることは殆ど無いでしょう。このようなことが可能なのは、おそらくそこに独創的な研究を行う大学があるからです。

尚巴志は謎の人物です。正確には尚氏は謎の一族です。尚巴志の曾祖父の屋蔵大主は沖縄北部の伊平屋島出身で、その後子孫が本島の佐敷に出てきたことに始まるそうです。そこで力をつけ、尚巴志の父親の思紹が佐敷按司になりました。按司というのはその土地の有力者のことで地頭のようなものでしょうか。その後、どんどんと勢力を拡大し、首里のある中山(ちゅうざん)、今帰仁の山北(さんほく)、そして南部の山南(さんなん)を滅ぼし統一しました。初代の王として尚巴志は少し知名度がありますが、実際の統一は父親の思紹の時代から始まり、中山、山北の制覇は思紹の事績です。よほど賢かったのか、あっという間に沖縄本島が統一されました。

沖縄の歴史は太平洋戦争の沖縄戦のせいもあり、なかなか文字資料として伝わっていません。上に登場した「按司」という言葉も役職名であり、その時代の按司が誰だったのかの特定も難しいようです。例えば、尚巴志の後ろ盾になった伊覇按司という重要な人がいるのですが、その実名さえ伝わっていません。何らかの形で、より詳細な記録が明らかになるといいのですが。

尚巴志が活躍したのはおよそ室町時代中期です。尚巴志と思紹の力で統一された沖縄ですが、その後が良くありませんでした。尚巴志の後を継いだ王は短命で、在位期間が短い王が何人も入れ替わりました。そして、王位継承問題もあり、一族が内部崩壊をしていきます。その結果、尚巴志の死後30年で尚氏の王朝は滅亡しました。

しかしながら、この尚巴志の尚氏を乗っ取ったのも尚氏でした。と言っても仮冒で、血縁関係はありません。沖縄を治める上で尚氏ブランドが便利だったのでしょう。このようなことから、尚巴志の尚氏が第一尚氏、乗っ取った尚氏を第二尚氏と呼びます。

展示では以上のような内容を、わかりやすくパネルで示してあります。尚氏を支えた重臣の懐機など面白い人物も多数取り上げられていました。ほぼ全て読み物です。肝心の博物館的展示はというと、遺跡で発掘された瓦や陶磁器の破片が少しだけ中央ケースで展示されています。実物主義の人からしたら、特別展の体をなしていないかも知れません。確かに、同じ内容なら本を読めば済む話ですからね。しかしながら、個人的には新しい知識がストーリーと共に頭に入ってくるので大満足な展示でした。尚巴志について分かった気になっています。

このほか同時開催として現代数学と切り絵アート展や城西考古Ⅱ展も開催されています。現代数学の展示は数学の数式や概念を使って非常にきれいな切り紙作品を作って展示しています。聞いたことのない法則などが出てきて全く付いていけませんでした。さすが大学です。分かる人は分かるのでしょう。


城西大学水田美術館 英雄 尚巴志展

~2/21(土日休) 9:30~16:30 無料

最寄り駅は東武越生線の川角駅です。

城西大学水田美術館は時折非常に面白い展示をするのですが、ネックは土日休館なのです。会期初期のみ限定的に土日開館しますが、そうでなければ訪問しづらいです(そもそも川角駅が遠いし)。

今回始めて城西大学を訪問しましたが、畑に突如現れる要塞的な最先端建造物然とした校舎に驚きました。

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