唐古鍵遺跡 ミュージアムリニューアル [奈良]
唐古鍵遺跡は日本史の教科書にも登場する有名な遺跡です。
が、その実何がすごいのか分からず、単語としての記憶しかありません。
教科書で目にしてから多くの月日が過ぎましたが、折角なのでその凄さを自分の目で見て感じ取ろうと思い立ち、唐古鍵遺跡を訪れました。
ちょうどミュージアムもリニューアルオープンして直ぐのタイミングでした。
唐古鍵遺跡は弥生時代の環濠集落として名が知られています。
遺跡が見つかった土地は100年近くも発掘調査が繰り返され、今では史跡公園として綺麗に整備されています。
環濠集落という言葉にあまり特別感はないのですが、この唐古鍵遺跡の特殊性はその環濠の様子で、なんと多層構造をしています。
つまり集落の周りを何層もの環濠が取り囲んでいるのです。
実際に史跡公園にもその多層の環濠が再現されています。
それだけ、外部からの侵略の驚異にさらされていたのでしょうか。
史跡公園には出土した土器に描かれていた楼閣が再現されていて、モニュメントとなっています。
しかしながら、この楼閣の痕跡は未だ発掘には至っていないそうです。
未調査地にあるのかもしれませんが。もしかすると近世に灌漑用に作られた唐子池や鍵池といった溜池の造成によって失われてしまったのかもしれません。
実際に遺跡の中心には唐子池があり、現在のモニュメント的楼閣もその中に建っています。
この遺跡から南へ行くと、リニューアルした唐古鍵考古学ミュージアムがあります。
出土品の展示がメインで、種類ごとに分けて展示しています。
土器に描かれた絵からは当時の祭祀の様子もわかります。
唐古鍵遺跡はまだたくさんの謎を残しています。
一つは未だ明確な稲作の遺跡が発掘されていない点です。
そして、もう一つは突如として唐古鍵遺跡が歴史上から姿を消すことです。
何らかの理由により計画的廃村が行われたのではないかとの説もあります。
面白いのは、それと入れ替わるように東方の纏向遺跡が勃興することです。
果たして関連があるのでしょうか。
また、訪れた際には逸品として特殊な埴輪も展示されていました。
中央にスイジガイの模様を配した盾形埴輪です。
始めスイジガイとは何か分からず、何かトゲのようなものを持つ不思議な模様が描かれているなと思っていたのですが、近くにいた職員さんに尋ねたところ南方系の貝の一種なのだそうです。
日本では手に入らない貝を持っていることがステータスだったのでしょう。
ですから、埴輪にそのような文様を描いていることは権力者の証だったのです。
唐古鍵遺跡は急速に整備されています。
史跡公園の整備、楼閣の修繕、博物館リニューアルだけでなく、今春には史跡公園の向かいに道の駅 レスティ唐古・鍵が誕生しました。
今まで影の薄かった田原本町が攻勢に転じたようです。
唐古・鍵考古学ミュージアム
9:00~16:30 一般200円 高大生100円
企画展の「唐古・鍵遺跡の重要文化財」との共通観覧券は一般300円 高大生150円です(~7/8)
最寄り駅は近鉄橿原線の田原本駅で、そこからレンタサイクルが便利です。
2018-07-05 00:54
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