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牧ノ内古墳群 摩利支天塚・琵琶塚古墳資料館 [栃木]

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栃木県南部には大小様々な古墳がありますが、その多くがあまり注目されることがありません。発掘が行われても、被葬者の実態が分かることはほとんどありません。多くの古墳は発掘されたあとに埋め戻され、あるいは開発とともに消失していきます。地上に痕跡を残さないため、日常生活をする上で古墳を意識することはほぼ無いでしょう。

近畿の大仙陵古墳(伝仁徳天皇陵)のようにインパクトの強い遺跡であるならば、地域の誰もが認知するものとなるでしょうが、小さい古墳が集まった群集墳ともなると誰も気にも留めませんし、そのあとに遺跡として残ることも少ないと思われます。そんな群集墳の一つとして、小山市には牧ノ内古墳群があるということを初めて知りました。展示解説によれば小山三大古墳群として、飯塚古墳群、西高椅古墳群とならび牧ノ内古墳群が挙げられるそうです。西高椅遺跡の発掘の様子はコチラでも紹介しています。

牧ノ内古墳群の場所は間々田近辺で、ジャガマイタが行われる間々田八幡宮がある辺りです。周辺にはその他にも比較的大型の千駄塚古墳や奈良時代の官衙跡遺跡があります。古代より何らかの祭祀が行われていた地域には伝統的な祭りが伝わっていたり、役所の跡があったりするのですね。それだけ重要な土地だということでしょう。

今回の展示は、新規に発掘調査されたものというわけではなく、これまでの遺物の紹介です。調査自体はだいぶ前に終了していて、調査地は既に住宅街として整備済みです。資料館内に出土品が展示されていましたが、さほど変わったものはありませんでした。50号墳から出土した埴輪が唯一のヒト型で特徴的でしたが、琵琶塚古墳や甲塚古墳のものに比べて簡易的な作り慣れていない感じの印象を受けました。掌も、ピグモンの手のように胴体に貼り付けてあるようなデザインです。稚拙な作りには何か理由があるのでしょうか。

古墳群はまだ未発掘の場所を多く含むため、今後新たな発見があるかも知れません。

ところで、一般的に墓地の跡、墓地の周辺に家を建てて住むことには少し心理的抵抗がありますよね。古墳も広義の墓です。古墳の跡に住むことには抵抗感は感じないものなのでしょうか。


摩利支天塚・琵琶塚古墳資料館 牧ノ内古墳群

~9/4(月休) 9:00~16:30 無料

最寄りバス停は現在存在しません。JR駅からのレンタサイクルが便利です。

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栃木県立博物館 アンモナイトの秘密 [栃木]

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栃木県立博物館の夏の企画展は子供でも楽しめるようにか、視覚的に分かりやすい展示が多いです。今回の企画展はアンモナイトに注目したもので、ありとあらゆるアンモナイトが展示されています。中には栃木県で発見されたものもあります。しかし、難しい話は殆どありません。巻いているアンモナイト、巻いていないアンモナイト、大きなアンモナイト、小さなアンモナイト、色々な化石が展示されているだけです。

アンモナイトの仲間にはオウムガイがいるのですが、アンモナイトが絶滅したにも関わらずオウムガイは今も生きています。大きな違いが無いように見える両者ですが、その運命を分けたものは何か。例えば、稚魚の大きさが違うことが重要だった、などいくつか仮説が紹介されていました。大昔のことですからなかなか確定的なことは言えません。永遠に謎なままかもしれません。しかし、陸上の恐竜と同様に、海の中に大量に生息していたアンモナイトがあるときぱったりといなくなってしまう。人間も今は地球上の至るところに生息していますが、それも永遠に続くものではないのかもしれません。環境の変化が起これば生存できなくなり、違う生物の反映する時代がやってくる。そうしたことをこの展示は教えてくれます。

展示の目玉は間違いなくアンモナイトの宝石、「アンモライト」でしょう。

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アンモナイトの化石が宝石化し、キラキラと緑に輝いています。こんなものも産出してしまうのですから、地球は不思議です。

展示会場自体は大きなものではありません。同時開催されている展示も楽しむといいでしょう。一つはアンモナイトの仲間の展示です。特に様々なイカの殻を比較しているのは面白い試みです。もう一つはダンゴムシです。ダンゴムシは見た目での差は分かりにくいですが沢山の種類がいるのですね。もしかしたら庭先に歩いている個体が、貴重な種類かもしれません。また、甲羅の模様によって、オスメスが識別できることを初めて知りました。噛みつくこともないですし、捕まえやすく且つ丸まるという形態の変化が起こることから小さい子供は誰でもダンゴムシが好きなのではないでしょうか。それがいつの日か興味の対象から外れてしまうのですが、日常に珍しくない生き物だからこそ知らないことが多いのかもしれません。

ちなみに、栃木県立博物館のレストランは企画展ごとに珍メニューを提供していますが、今回の特別メニューは「アンモナイドン」です。


栃木県立博物館 アンモナイトの秘密

~8/21(月休) 9:30~16:30 一般260円 高大生120円

(全ての特別展示の会期は上記までで、入場料金は各展示で共通です。)

最寄りバス停は関東自動車の中央公園博物館前などです。

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