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北海道博物館 アイヌ語地名と北海道 [北海道]

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北海道は多くの場所で本州以南とは地名の趣が異なります。

それは地名の元になっているものがアイヌ語だからです。

北海道は明治以降に正式に日本に組み込まれ、地名には漢字を無理やり当てられました。

細かく言うと、日本語の発音体型とアイヌ語の発音体型が異なることから、漢字に引っ張られる形でアイヌ語の音が失われたものもあります。

例えば、アイヌ語「ベッ」→漢字「別」→読み「ベツ」など。

アイヌ語は子音で終わることが多々あるのですが、日本語では強引に子音+母音の言葉に置き換えられてしまいます。

もっとも、子音+母音で表記してあったとしても、実際に発音しているときには従わないこともあるのですが。

「タンパク質」→「TAMPAKUSHITSU」ではなくて「Tampakshits」だったり。


さて、アイヌの言葉が現代に残るほぼ唯一の例である地名ですが、古くから多くの人を魅了してきました。

この展示では江戸時代以降、和人が北海道に渡るようになり、記録に残された地名の記録をたどります。


江戸時代には松前藩を始めとして多くの人が交易のために北海道に渡りました。

また、江戸中期からはロシアの南下に対抗するために、江戸幕府からも多くの人が派遣されました。

その中の一人が伊能忠敬で、今回の展示の目玉である伊能図を残しています。

その当時の地名記録はほぼ片仮名です。

それが明治期に入り、漢字による当て字表記へと変わります。

そして、長い漢字の表記を嫌った政府により、漢字2文字での表記が推奨されました。

その結果、現在のような地名が出来上がりました。

簡潔なった反面、今の表記からは元のアイヌ語がわかりづらくなってしまいました。

こうした、アイヌ語による地名ですが、もっとも残念なのは、アイヌに文字が無かったため、記録が殆ど無いことです。

今たどることができるのも、本州側の記録を元にした部分のみです。

津軽海峡を隔てただけなのに、こうも文化的に異なる状態が生じていたことが不思議です。


展示構成は、始めは伊能図などの展示で、続いて地名研究家の山田秀三のノートの展示です。

正直なところ、あまり実のある内容ではありませんでした。

それも、アイヌ側の記録が無いことによるのでしょう。

山田秀三の取材記録は詳細に見ることができるので、時間があって山田秀三の業績をたどりたい人にとってはとても有意義なものなのかもしれません。

ただ、この博物館のミュージアムショップには知里真志保著のアイヌ語入門や地名アイヌ語小辞典が売っているのでそれを買うことができるだけでも来た価値はありました。



北海道博物館 アイヌ語地名と北海道

~9/23(月休) 9:30~16:30 一般1300円 高大生450円(常設展とのセット券)

最寄りバス停はジェイアールバス北海道の北海道博物館です。

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