兵庫県立美術館 天野喜孝展 [兵庫]
天野喜孝氏と言えば、多くの人がファイナルファンタジーシリーズのキャラクター画を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、ゲームをしたことがない自分としてはグインサーガの表紙絵の作者としてのイメージの方が強くあります。
実はこちらも小説そのものを読んだことはありません。
しかし、本屋の文庫本コーナーで平積みになっているのをよく目にしていたので、とても印象に残っています。
90年代頃でしょうか。
展示即売会のようなものも頻繁に行っていたような気がします。
もう一人同時によく展示会を企画されていた女性の画家がいたのですが、名前が出てきませんでした。
そんな天野喜孝氏ですが、特徴的なタッチの絵は忘れることはないでしょう。
画面いっぱいに広がるデザインに現れる登場人物は、よく見ると仏教絵画の目を持っているようにも見えてきます。
そんな重厚な作品の作者でありながら、この展覧会で初めて「みなしごハッチ」や「ガッチャマン」や「タイムボカン」のキャラクター原案を作ったと言うことを知りました。
全く絵の雰囲気が異なります。
それらの折衷デザインのような絵画作品(アートとしてのガッチャマンやドロンジョ)が展示されていたのですが、それはとても味のあるもので、額装して飾りたくなる逸品だと感じました。
そのような作品を見るとイラストレーターという肩書きが不釣り合いで、純粋に“画家”として表現して良いと思います。
解説にもあるように、アニメ界出身なだけあって躍動感溢れる線を用いた描き方が、氏の最も本領を発揮できる画題であると思います。
ですので、ファイナルファンタジーのキャラクターの原画はおとなしいポージングで、少し物足りなく感じました。
個人的には中期頃の作品が好みで、近年の黒塗り背景の作品は氏の流れる線描との境界がきれいに分離できていないような気がして不自然さを感じてしまいました。
背景が金色だと違和感を感じないので、黒い色と線描との対比のせいなのかも知れません。
作品では「花天」「魔天」が特に気に入りました。
そして展示の最後の部屋は前代未聞の写真撮影可のエリアとなっています。
最も新しい作品群で、色使いのはっきりしたポップアートのような巨大な作品が多数飾ってありました。
これまでとは180°違うような描き方に驚きました。
イメージとしては村上隆にも近いかも知れません。
新しい方法を試み、次にどのような世界が待っているのでしょうか。
兵庫県立美術館 天野喜孝展
~8/30(月休) 10:00~17:30 一般1200円 大学生1000円
最寄り駅は阪神電車の岩屋駅です。
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