桐生明治館 旧群馬県医学校兼衛生所 [群馬]
今年の大河ドラマは長州が中心の幕末の物語ですが、群馬県もゆかりの地として売り出しています。
なぜならば、主人公の杉文(井上真央)の再婚する相手の楫取元彦(大沢たかお)は明治維新後群馬県令として赴任するからです。
展示施設を開設して宣伝紙などを発行していますが、あたかも楫取元彦が大河ドラマの主人公であるかのようなもので突っ込みを入れたくなるものになっています。
そんな群馬県が誕生して間もなくの時代の建物の一つが桐生市に現存しています。
現在の名称は桐生明治館となっていますが、もともとは群馬県の衛生所兼医学校として前橋市の県庁前に造られたものです。
その後両施設は廃止され、建物は移築して相生村役場として使われてきました。
そして最近、建築当時の姿に復元され、かつ重要文化財指定され今に至ります。
建物は和洋折衷の作りで、一見洋館の様な外観をしていますが、屋根には鬼瓦が設置されています。
また、中は広くはないのですが、壁や天井が紙張りとなっている点が特徴的です。
冒頭の写真は会議室の椅子に腰掛け、窓を覗いた体で撮った写真です。
当時の人たちもこのような風景を見ていたのでしょう。
現在は復元から年月が経ち、再度老朽化を感じさせる部分が出てきていますが、足下の床板の擦れや塗装の色あせが逆に時代を感じさせ興があるように思われます。
さて、明治維新とともに各地に医学校が作られたそうです。
しかしながら、群馬県の医学校は応募人数が少なく数年のうちに閉鎖されてしまいました。
医者の人気はなかったのでしょうか。
当時のシステムについても紹介されていました。
入試は理系的分野の試験が無く、当時から問題視されていたようです。
また、奨学金の制度もあり、今と同様に貸し付けられた学生は卒業後に公的な診療を義務づけられていたようです。
戦後に構築された医学部の制度にもよく似て、問題としていまだ改善されていない学力の点にも通じる話が既に明治維新の段階で生じていたというのですから驚きです。
人は進歩しているようで、同じところで足踏みをしているだけなのかも知れません。
桐生明治館
9:00~17:00 150円 月曜日、祝日の翌日休館
最寄りバス停は桐生市おりひめバスの桐生明治館前です。
(最寄り駅はわたらせ渓谷鉄道などの相老駅や上毛電鉄の天王宿駅です)
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