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本と温泉 城崎裁判など [兵庫]

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新型コロナウイルスの影響でなかなか遠くへ行くことができません。観光地は逆の立場でなかなか人に来てもらえません。分かっていることとはいえ、モヤモヤします。1年で収束するかと思いきや、ついに季節の2周目を進んでいます。

人が訪れづらくなった観光地では何とか工夫して売上を出さねばなりません。それどころか、今ではポストコロナの時代まで生き残っていられるように、忘れ去られていないようにというレベルの話になっています。ワクチンの接種開始が始まった一方で、変異ウイルスが蔓延しだしたりと出口の時期が見定められません。

有名な観光地の一つである城崎温泉も大変でしょう。おそらく城崎温泉を知らない人は少ないと思われます。城崎温泉と言えば志賀直哉の「城の崎にて」が有名ですが、数年前から町おこしの素材として「文学」を取り上げています。活躍中の作家に城崎温泉をテーマにした作品を書いてもらい温泉街でのみ販売するという変わったスタイルのものです。

その「本と温泉」レーベルのものには、万城目学の「城崎裁判」、湊かなえの「城崎へかえる」、tupera tuperaの「城崎ユノマトペ」があります。城崎温泉でのみの販売というだけでも面白いのに、写真のように装丁がぶっ飛んでいます。「城崎裁判」はタオル地のカバーに防水紙への印刷で温泉に浸かりながら読める本です。「城崎へかえる」は蟹です。「城崎ユノマトペ」は下駄です。どれもこれは本かと疑うほどの見た目です。

実は新型コロナの外出自粛応援として、先月まで一部店舗で通信販売が行われていました。ということで、今回入手することができたのです。本当は現地に行きたいのですが、なかなか機会に恵まれず・・・手に入れられないだろうと踏んでいただけにありがたい限りです。なお、これらの本は初版限定の企画ではなく、何度も増刷されていますので、入手困難になることはないようです。今話題の転売ヤーの毒牙にかかるのも残念の極みですからね。

さて、記事の公開が入手してからしばらく経ってしまったのは、読んでからにしようと考えていたからです。ひとまず「城崎裁判」を読みましたが、万城目ワールド全開の作品でした。例えるならば、「鹿男あをによし」と「こぶとりじいさん」を混ぜた作品と言ったところでしょうか。落ち着いた冷静な文章の書き出しに始まるのですが、いつの間にか展開に飲み込まれて読破してしまいました。しかし、作品を理解する上で、志賀直哉の「城の崎にて」を読んでおいたり、実際に現地で城崎温泉の地理を体感しておくと、より一層作品が入ってくるのだろうと感じました。

新型コロナウイルスのもたらしたモヤモヤは社会を、自分を見つめ直す機会となり、作家の人たちに多大な影響を与えることでしょう。その結果、新しい魅力のある作品が生まれることを期待したいです。そうでなければ、この浪費した年月を前向きに消化することはできません。



本と温泉レーベルの本は城崎温泉内の旅館や物産店で入手することができます。

城崎温泉の最寄り駅は山陰本線の城崎温泉駅です。

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