重文決定 氷川丸 [神奈川]
今月、氷川丸が重要文化財として登録されることが決まりました。
氷川丸は戦前に造られ、太平洋を何度も往復した客船で、現在は山下公園の前に鎮座しています。
今はもう航行はできませんが、昭和初期の船が健在していることだけでも素晴らしいことです。
レトロブームなのか、艦内には年配の方や海外からの観光客だけでなく、若い人もたくさん来ていました。
特に一眼レフカメラを持ってあちらこちらを写真に収めていた女子や着物で来られている方が印象的でした。
確かに、なかなか日常的に見ることのできないレトロでモダンな作りには惹かれます。
艦内には運行当時を再現した部屋がたくさんあり、古いせいか動いていないにもかかわらず足下が傾いているような感覚がありました。
相対的に一等客用のスペースは広いのですが、それでもこのような狭い空間に2週間近くも居続けながら太平洋を横断していたとは当時の苦労を思います。
ちなみに数年前にクラゲの光る遺伝子でノーベル賞を受賞した下村博士もこの船で渡米したということです、もっとも乗れること自体がエリートの証しだったようですが。
艦内の一部には、氷川丸の歴史がパネル展示されています。
特に印象的だったのが、戦時中の病院船として運行していたときに現地の参謀に武器を輸送するように要求された話です。
病院船はその性格上、敵から攻撃を受けない取り決めとなっています。
そんな船が武器輸送をして戦争に参加すれば、氷川丸だけでなく全ての病院船の信頼が失われ攻撃対象とされてしまいます。
そのため、司令部に確認を取り武器輸送はしてはならないと言質を取り、事なきを得ました。
このおかげで現在もその姿を見ることができているのかも知れませんね。
往々にして現場の指揮官はこのように大義に疎い感じがあり、嫌悪感さえ覚えます。
氷川丸の名は大宮の氷川神社に由来し、船内には氷川神社の神紋である八雲の意匠があります。
氷川神社の御札も祀られていて、沈まない御利益があったと言われています。
氷川丸の重要文化財化で、氷川神社も賑わうでしょうか。
訪れた日は気持ちよく晴れた日で、オープンデッキが心地良いものでした。
しかし、案内によればその展望台の足下の部屋は隔離病室だったようですね。
長い船内で疫病が流行っては大変ですから、このような船の端にあるのでしょう。
おもしろいですが、縁がないに超したことはありません。
氷川丸
10:00~17:00 月休 300円
最寄りバス停は横浜市営バスの山下公園前です。
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