飯田市美術博物館 [長野]
飯田市は長野県南部にあり、直ぐ山を越えれば岐阜や愛知なのですが険しい山に阻まれています。
いまでこそ高速道路のトンネルが開通し便利になったのですが、鉄道では未だに不便を感じます。
地形的には北側に開けているので松本方面への物流があるように思うのですが、特急は南部に向かう物のみで2往復。北へは特急さえ走りません。
その分、高速バスが発達しており、名古屋方面、新宿方面など多くの路線があります。
今回はこの多岐にわたる高速バスを利用して訪問しました。
飯田市美術博物館は新しい作りの博物館で館内にはプラネタリウムも設置されています。
展示室は複数有り、今回はそれぞれにおいて違う展示が行われていました。
一番東側の部屋では「日本画と四季<冬>-菱田春草と飯田の美術-」と題して飯田市出身の画家である菱田春草関連の絵画が展示されていました。
特に注目されるのは春草の朦朧体が感じられる「山水」です。
隣には下村観山の「楼閣」も並べられていましたが、伝統的な水墨画の霞む感じとは異なる漠としたタッチの表現が感じられました。
それがおもしろく、まるで目の焦点が合わずに絵を見ているような不思議な感覚を得ました。
菱田春草の朦朧体は当時は賛否両論で、好意的ではなく受け止められることも少なくなかったようです。
初めて見たのですが、悪い印象はありませんでした。
次の部屋は「桜-印籠と謡本、飯田の古桜- 」の企画で印籠などが展示されています。
そして、飯田城の古地図が展示されていてそこには当時の桜の木の位置も詳しく書かれていました。
飯田城は古くから多くの桜の木が植えられていたらしく、桜丸と名付けれた施設もあったようです。
もう少しして桜が咲けば今でも当時が忍ばれるかも知れません。
最後(美術側の)の部屋は「須田剋太の挑戦-色彩とマチエール-」 と題して須田剋太の抽象画が展示されています。
たくさんの絵があるのですが、須田剋太が意図した物は何だったのか汲み取ることは非常に難解です。
線や幾何学模様の羅列には果たして意味があるのか。題名にも意味のある物は付けられて無く解釈が困難でした。
まあ、須田剋太らしいといえばそうなのですが。
ちなみに公式HPにも解説は無し。専門家も難しいのでしょうか。
しかし、なぜ飯田市に須田剋太の作品がたくさん残されているのか釈然としません。
その他、常設側には飯田の歴史と自然についての展示がありました。
飯田市美術博物館
日本画と四季<冬>-菱田春草と飯田の美術- ~3/25
桜-印籠と謡本、飯田の古桜- ~4/22
須田剋太の挑戦-色彩とマチエール- ~4/22
月休 9:30~16:30 310円
最寄り駅は飯田線の飯田駅です。
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